2015年3月28日土曜日

シリア問題の2つのワークショップ

27日は昨日の雨模様とは変わって、曇り後晴れという天候。しかし、風が昨日以上に強く、会場のテントが吹き飛ばされる場面も。

午前中は”Syrian Revolution Goes On”というワークショップに参加。主催は、「シリア革命と連帯するグローバル・キャンペーン」という団体でした。。



30分ほど遅れて参加したので、どういう運営になっているかはわからなかったが、西サハラの女性、ブラジルのBDS活動家などが発言。フランスのNPAメンバーも「フランスでは、30年以上の歴史を持つパレスチナ連帯運動ですら難しい状況。チュニジア連帯運動も非常に弱い。アメリカの侵略に反対している人々が、アメリカの空爆を批判していない。われわれは、シリア人民を殺傷しているアメリカ、フランスの空爆を批判している。」と発言しました。彼は、数年前に日本に招いたNPAメンバーの友人だとのこと。

このワークショップの基調には、非常にドグマチックな匂いを感じました。例えば、タイトルの「シリア革命は進行している」にしてもそうですが、「シリアが直面している問題は他の中東諸国と同じだ」等々が語られていたことにもそれを感じました。革命の主体となる民衆の状況がどうかについてほとんど言及されていなかったことに苛立ったのか、カナダの女性(「シリア連帯運動」というアメリカにある団体の名刺をもらった)が「昨年、シリアに3回行った。行ってみて、シリアの人々と交流すると、革命は一体どこにあるのか、と感じた。いま進行しているのが革命だとすれば、革命が民衆の生活を破壊し、民衆を殺している。シリア民衆にとって、革命は生活を破壊し、命を奪うものとしてしか考えられない。こうした現実のどこと連帯するのか」と発言したのが印象的でした。

午後はまず、エジプトに関するワークショップに参加。しかし、英語への通訳がきちんとしていなくて、一時間足らずで続けての参加を断念。

他に何かないか、プログラムをめくっていくと、午前とは別の団体が主催するシリア関連のワークショップがあったので、こちらに参加しました。同じ団体(オーストリア社会フォーラム)が主催した前日のウクライナ問題のワークショップが英語中心だったのと当事者を招いていたことで安心できると思ったからです。


このワークショップのタイトルは、”Is peace in Syria is still possible?” タイトルのつけ方がワークショップの性格を現しているのは間違いないでしょう。これには、シリアから4人のゲストスピーカーが参加。うち1人は西クルディスタンからきたクルド人。他の3人と彼とは明らかに主張が異なっていました。

おそらく反政府勢力の代表と思われるスピーカーが、政府に対する反対派の統一が必要だと訴えていたのに、クルド人のスピーカーは「自分たちは政府と反政府派との間で中立的な立場をとっている。目標はクルド人による地方政府の樹立。内戦が始まって4年経つのに、いまだに反政府派が統一を訴え、はっきりとした見通しを持っていないことは驚くべきことだ」と言いきっていました。また、コバニの戦闘でクルド人女性が自爆攻撃したことへの質問には、「なぜ自爆攻撃したかは聞いていないが、革命は女性にとっての革命でもあって、男性と女性が責任を分けあうのは当然だ」と答えていました。

おそらく主催者(に近い)大学教員らしき人が具体的な提案として、「国際的な圧力と呼応した99%のシリア民衆の団結によって、アサド政権を穏健化させ、内戦を終了するための平和プロセスを始める」ことを主張しました。その際には、アサド政権をどうするかは、将来の課題として残すことにすればいい、との主張。これにはゲストスピーカーや参加者から、質問や疑問が出されていたのですが。

午前中に発言したカナダの女性が再び発言し、「武器を置いて、政治的解決を目指して話し合うしかないと考えるが、それは可能か?」とスピーカーに質問。

反政府派のスピーカーは「40年間、政権に対して変化をもたらそうと努力してきたが、何の変化もなかった。国際的な財政的、軍事的な支援が政権を支えている。これをやめさせなければ変化は起こらないし、平和的プロセスにも入れない」と答えました。

こちらのワークショップは少なくともシリアの当事者を招いて、討論している点に誠実さを感じました。

16時30分からは社会運動総会が開かれます。

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