2015年3月26日木曜日

ベルハッセンさんとのインタビュー

25日16時から、ホテルで弁護士のベルハッセン・エヌーリさんと会いました。彼は、前回のWSFで「憲法9条」についてのワークショップを日本からの参加者と共同で主宰した方です。2013年の憲法9条世界会議・関西の際にゲストとして招待し、国際会議や集会で発言していただきました。まだ30歳の若手弁護士です。

約1時間、チュニジアの状況、テロ攻撃についての反応などを聞くことができました。

「アラブの春」以降、チュニジアだけが唯一、政治的なプロセスが進行しているのはなぜかという質問に対して、彼はいくつかの要因を挙げました。

*初代大統領のブルギバが子どもたちや女性の教育を重視した政策をとり、その結果、民主主義を経験することができていた。そのため独裁政権が倒されたあと、民主主義へと到達する用意が国民の中に備わっていたこと。
*これが一番重要かも知れないが、独裁政権下でも活発な市民社会と運動が形成されていて、弾圧を受けても脈々と継続されてきたこと。
*部族による統治という伝統がなく、国が統治するという価値観が共有されていること。
*武器が市民の中には手渡されておらず、軍や警察のもとに管理されていること。また、軍の力が比較的弱かったこと。

このために、独裁政権が打倒された後に若干の混乱はあっても、内戦や軍事クーデターを招かなかったと彼は説明しました。この2番目の指摘は重要なポイントだと思います。さらに、彼は「アラブの春」以降の政治的混乱を収拾するにあたって、市民社会の4つのグループの役割が大きかった、つまり労働組合、法律家、実業家、市民運動団体が「国民対話」を通じて憲法制定、大統領選挙、総選挙を実現させたことを指摘しました。

次に、テロ攻撃についてのチュニジアの人々の反応です。

99%のチュニジア人はテロ攻撃を非難しているが、ごく少数の過激主義者が存在していることは事実で、従来は山間部で軍や警察に対する攻撃を行っていた。しかし、今回、首都の中心部で観光客や市民を無差別に殺すテロ攻撃があったことにショックを感じている。チュニジア国内で活動が難しいため、多くの過激主義者がISに参加した。その多くは貧しい層出身の青年だが、中には技術者など高学歴の者もいる。チュニジア人は、民主的なプロセスを支持していて、決してテロ攻撃を認めないだろう。

また、テロ攻撃がおきたことへの政府の責任についても言及しました。

独裁政権が倒されたあと、1年以内に憲法制定すると約束していたが、それが果たされずに市民の中に失望と怒りが高まり、街頭でのデモやストライキという形での運動が拡がった。結局3年かかってしまい、その間に過激主義者が一定の勢力を伸ばしてしまった。それは政府の責任でもある。

非常にわかりやすく説明してくれて、有益な時間でした。


この話のエッセンスをyoutubeにアップしていますので、そちらもご覧ください

「ベルハッセンさんインタビューその1」チュニジア情勢について
http://youtu.be/EwMGV9Fj-mk

「ベルハッセンさんインタビューその2」テロ攻撃について
http://youtu.be/PhehzHDTYpc

「ベルハッセンさんインタビューその3」9条を守る闘いへのメッセージ
http://youtu.be/XwDd-A16Kt4

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