秋本 陽子(ATTAC Japan首都圏)
毎日、いろんな発見や進展があるので、すぐにでもお伝えしたいと思っていますが、インターネット環境がきわめて悪く、なかなか情報を送れないので、歯がゆい思いでいます。
WSFベレンに対する総体的な評価は、そのうちあちこち出てくると思いますが、ここで、ごく簡単に私自身がこれまで感じ取ったものを述べたいと思います。
WSFベレンは、アマゾニア地域の先住民たちとブラジルの若者たちの参加が目立っていること、そしてラテンアメリカにおけるオルタナティブの実践がすでに開始していることを宣言するフォーラムになったという点に特徴があると思います。
これはもちろんアマゾン川河口のベレンで開催した狙いが成功したと言えます。WSFベレンは、熱帯雨林の伐採やアグロ燃料用作物の作付けなどで、環境破壊が深刻化しているアマゾニア地域を焦点化し、そこに住む先住民たちを可視化することで、今日の新自由主義のグローバルな危機を指摘することに成功したと言えるでしょう。アマゾニア先住民がWSFの参加カードをつけて、自信を持ってフォーラムに参加している姿は、何か期待が持てるような気がしました。
またブラジルの若者が多いのは、ある意味では、ラテンアメリカ総体の変革の可能性を示唆していると言えるのではないかと思います。ブラジルはWSF運動をベースとしてルーラを選出したものの、ルーラは新自由主義に決別できるほど国民の期待に答えておらず、今日では、貧困層や若者たちの間で批判が高まっています。オープニングのデモのときに、ルーラの支持政党であるPTが通り過ぎると、多くの若者がブーイングを投げかけたり、またATTACのバナーを持ってくれたブラジル人の女性(この女性とは、たまたまデモの現場で知り合った)は、PTの隊列を見て「no good any more(あれはよくない)」と言うなど、WSFに参加している若者の間では大統領批判が続出しているように思われます。そして、一方で、PTと袂を分かち、新たに設立した新党P-Sol(Partido Socialismo e Liberdade)が27日に開催した講演会には、立錐の余地すらないほど、20代の男女が集まり、資本主義反対、ビバ・ソシアリスモ!ビバ・オルタナティブ!と呼びかける党首らのスピーチに大声援を送っていました。
昨日29日は、ラテンアメリカの左派の大統領5人(ブラジル、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、パラグアイ)がWSFベレンにやってきて、それぞれスピーチを行いました。聞いたところによれば、会場にフェミニストたち(「世界の女性行進(World March of Women)」)がたくさんいるのをすばやく察知したベネズエラのチャベス大統領は、開口一番「自分はフェミニストだ」と語ったそうです。またこれに先立って行われた土地なき農民運動(MST)とルーラ大統領との交渉(MSTがルーラに交渉を要求したところ、ルーラはその要求に応じた)では、ルーラは、結局MSTに対して100万世帯に住宅を無償提供すると約束しました。
新自由主義と決別するラテンアメリカの変革は、まだまだ発展途上にあるものの、その兆しはWSFベレンでたっぷり見て取れるとことができると思います。チャベスのイニシアティブで始まったALBAのセミナーには、大勢の人が参加していました。メキシコで水の民営化に反対する運動をしているアレハンドロさんは、「ALBAはまだしっかりと確立されたものではないが、可能性があると思う。現在でも、様々な提案、インプット、インターベンション(意見やコメント)が行われている。さらに、モラレスがALBAを補完するための提案も行っている」と語っていました。「南の銀行」については、31日にセミナーが予定されています。
また今回、特筆すべきこととして挙げれば、金融危機の中で行われたWSFベレンでは、いくつかのグローバルネットワークが協働してオルタナティブを討論するための連続セミナーが開かれたということがあります。これは、OWINFS(Our World Is Not For Sale「私たちの世界は売り物ではない」)、ATTACインターナショナル、TUCA(Trade Union of the Americas)、CADTM、IGTN(Intenational Gender and Trade Network)、Focus on the Global South、TNI(Transnational Institute)、Climate Justice Now!などのネットワークが、オルタナティブをどのように獲得していくか、オルタナティブとは何なのか、などについて、それぞれ連続セミナーを行い、そこで出された提案または意見を統合して、より具体的なものを作り上げようという試みです。昨日開かれた全体のセミナーでは、会場に入りきれないほど多くの人(約300人)が集まりました。
他にもたくさん報告すべきことはありますが、追ってお知らせしたいと思います。
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