2015年の世界社会フォーラム(World Social Forum / Fórum Social Mundial)は、3月24日から3月38日まで、チュニス(チュニジア)で開催されます。このブログでは、日本からの参加者のレポートをお届けする予定です。
2013年3月25日月曜日
科学と民主制のための世界フォーラム
通例、世界社会フォーラムと同時に、あるいはフォーラムに先立って、いろいろなイベントが行われます。
現在、多くの社会運動ネットワークは世界中に広がっており、相互に顔を合わせる機会は少ないため、多くの社会運動から参加者が集まる世界社会フォーラムは、異なる問題に取り組む運動体について知る機会であると同時に、同じ社会運動内や同じテーマで活動する運動体間での交流を図るよい機会になります。
例えばATTACや緑の党などがグローバル・ネットワークの会議を持ちます。
また、気候変動や反戦といった問題でも、グローバルな集まりが開かれます。
そのひとつが、開催に先立つ23日から25日の3日間開かれた「科学と民主制のための世界フォーラム」です。
初日の全体会では、まず科学と法律(特に、国際的な規制法)の問題や、先端的な科学技術(カナダのNGOであるETC グループからの講演者は例として、ナノテク、合成生物学、ジオエンジニアリングを挙げました)が、現場でどのような結果をもたらすかについて十分に民主的な討議無しに推進されていることの問題点などが指摘されました。
また後半は「大学と社会」というテーマで、カナダの「メープル革命」の報告や、エル・マナール大の教授による、革命後のチュニジアにおける大学の役割について等の講演がありました。
午後と二日目は3つのワークショップが併催される形式で行われました。
初日の午後は「健康、倫理と民主制」、「科学的および技術的文化」、「ナノテク、ジオエンジニアリング、合成生物学とグローバルからローカルなテクノロジーアセスメントの必要性について」が行われました。
私は、最後のものに参加しました(詳しい内容については、あらためて報告できればと思います)。
二日目の午前は「科学者の責任」、「21世紀の教育と大学」、「コモンズと知的所有権」といったワークショップがあり、「科学者の社会的責任」では例えばドイツでは現在40以上の国立大学がなんらかの形での軍事研究に関与しているといった現状が報告されました。
午後は「コミュニティ・ベースト参加型リサーチの役割」「研究システム」「投票と民主制」といったワークショップが開かれました。
コミュニティ・ベースト・リサーチのワークショップは、その分野で長く活躍するカーン・ラヒ氏が司会を務め、ブラジルで先住民のセネガルの大統領選に際して「投票の意味」を考えるためのワークショップ等教育活動を行った事例や、カリフォルニアで住民を巻き込んだ環境調査の結果、産業廃棄物などからの汚染が有色人種の居住地域で優位に高いことが解ってきたという事例などが報告されました。
会場は大学の施設なのですが、同時通訳の設備などが十分に機能しているとは言い難く、言語(基本的には英語かフランス語が使われる)を超えた意思の疎通が円滑だったとは言い難い部分が残るのは毎度のことですが、それでも多くの重要な意見交換がなされたかと思います。
特に、バイオテクノロジーを学んでいるというチュニジアの修士の学生が「私は自分の分野の推進が必要だと思っているけど、こういう問題はきちんと考えなければ行けないと思う」といって米国のNGOに所属する発表者の連絡先をもらいに行っていたのが印象的でした。
(春日)
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